HERO
彼女は、多分私の表情を見て、なんとなくわかったんだと思う。


まあそれも、私の単なる勘違いと自惚れじゃなければの話なんだけど。



「やっぱり、辞めなきゃよかった」


ちょっとだけ笑いながら、彼女はそう言った。


そう、そもそも彼女が辞めなければ、私はここにいないわけで。


そう考えると、少しは彼女に感謝でもするべきなのかな。



「あーあ、とーまの顔見てるとうんざりするから、もう帰るわ。じゃあね、馬鹿とーま」


「セイラ...」



誰がどう聞いたって、強がりだったけど。


わんこが彼女の名前を呼んだときにはもう、彼女は背中を向けていて。



「ばいばい」


そう言って、出て行った。
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