ご奉仕ワーリィ
「貴様……」
“わざとか”、と言いかけて止めた。
代わりに込み上げてきた笑いで、言葉が飛んでしまったのだ。
フィスト王とて聞いていたラハティーへの――いいや、王女に対しても侮辱となろう言葉に、この男は我慢できなかったのだろうと知る。
「犬めがっ。負けても構わぬプライドなど捨ててしまえばいいものを!ふははっ、そんなに“見過ごすことができないか”!その貴様の胸にある想いは!」
「何のことだか分かりませんね、フィスト王。あなたの思考は、凡人たる俺には理解できないものでして」
「ふん、分からぬなら、ああ、“それでもいいだろう”。しかしながら、私は“それでもやるぞ”?何せ、世のオトメは私のものだからなぁっ。奪われる前に奪ってやろうぞ!」
ふははっ、と枯れぬ喉を響かせて、フィスト王は去る。
耳に残る余韻が、ざわざわと体を這っていくような。
「……」
僅かにラハティーは笑みを壊して、歯をぎりっと擦らせていた。