ご奉仕ワーリィ
「おや、怪我をなされたみたいですね。しかし、“運がいい”ですよ、あなた。脳天に突き刺さってもおかしくなかったのに、ええ」
“本当なら”、と剣を抜く時に、その兵士にしか聞こえぬ無色の声でラハティーは言った。
意味など察せた。察して後悔してしまうほどに、兵士はその場に膝をついてしまった。
別の兵士に肩を貸されて、医務室に運ばれたようだが、ラハティーの目にはもはやあの兵士は映っていない。
「お手合わせ、ありがとうございました。かの偉大なるフィスト王との攻め合いは、胸に響くものが――」
口上を述べるラハティーに、フィスト王を厳しい顔つきをした。
右手に持ったレイピアを見つめ、手応えのなさを覚える。
確かに打ち合ってみせたが、レイピアの耐久具合を考慮して、“それほど力を入れていたわけでもないのに”。