甘い夜、苦い朝
 
「はい、おにぎり握っておきました。時間見つけて食べて下さい」
 
その上、出来が良すぎて困る。

「今日は茜さんの好きなハンバーグ作って待ってますから、気をつけて帰ってきて下さいね」
 

白旗を、かかげたい。
 
だから夜、眠れないんだ。
 
好きで、好きで、好きすぎて。


「いってきます」
 
意を決して、もう一度口にして。
 
ドアノブをひねって、外に出る。
 

そこには真っ青な五月の空が広がっていて、眩しさに目を細めてししまう。
 
君に名前を呼ばれたときのように。
 

私はどこにいたって君に支配されている、ような気がする。
 
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