プロフィール
『階段途中の少女たち』
スターツ出版文庫より発売
『15歳、終わらない3分間』
『夕星の下、僕らは嘘をつく』
『京都あやかし絵師の癒し帖』
スターツ出版文庫より発売中
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ハイクラスのホテルというのは、なにも恋人同士で泊まるのがお決まりのパターンじゃない ひとりでも、友人とでも、気持ちよく泊まれるのがいいホテル 悲しいことがあったとき、 踏ん張りたいとき、 新しいスタートを切りたいとき、 私たちはきっと、普段とは違うハレの場として、そういう場所を選ぶのかもしれない 豪華な部屋で、やわらかなベッドで 手に入れるのは、人の温もりでもあり、楽しい時間であり、気持ちの良い眠り 彼女の切り替えとスタートに、きっとその一夜は温かくやさしい時間と場所を与えたのだろう 彼がけして連れてきてくれなかった、豪華な部屋で

誰だって、意地を張る まだ負けてない、まだやれる あいつになんか、屈服しない でも同時に、その侘しさも知っている 意地を張るのは、認めたくないから? 違う、女だから 女は強くて、脆い それはもう、どんな氷の柱だって叩き割れそうなほどパワーがあるし それはもう、どんな深海の底にだってたどり着けそうなほど打たれ弱い この短編につまってるのは、そういう女 たぶん独りでも生きていける でもきっと独りでは生きていかない それは弱さでもあるし 愛しむべき、女の力

結婚式はゴールじゃない、スタートだ、とはよく聞くけれど 本当はふたりの人生はもっと前に始まってる それでも、結婚式ってまたあらたなスタートなんだろうなあと すんごい苦労して悩んで喧嘩して泣いて そこを乗り越えて、夫婦になる、って誓う日は 入籍したときとはまた違う想いにあふれるのかもしれない あいしてるという慈しみと だいすきという優しさと やわらかでいてコミカルな語り口調でつづられた記憶、想いは 読んでいるだけでほっこりと温かい気持ちになれます おしあわせに。 どんな形だって、ふたりがしあわせなら、最強です。

きんもくせいの匂いがする。 そう小説に書き記したのは山田詠美だった。 それ以来、金木犀の香りは私にとって「恋愛小説の香り」になった。 匂い、というものは常に私たちの周りにあって、プルースト現象ということばがあるように、それによって記憶や感情が扇動されることもしばしば。 季節のうつろいを感じることも、異性を感じることにも密接な匂い。 ひとりで生きていくことを決めた女性が淡々と語る日常は、きっと誰にでもわかってしまう部分があるもの。 しかし突如やってきた非日常は、想像するにとどまる人の方が多い。 それを匂いという誰もがわかるもので繋げて、同時にひとつの恋を落として。 僅かに、けれど確実に動く気持ちを静かな文章で綴る。 どこか儚げで、きれいでいて、そわりとする短編。 金木犀の香る頃、また再び読みたいと思う。
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