会いたくなったら、上を見上げて
「志穂。志穂」

「えっ!」

「どうした? ぼーっとして。志穂らしいけど」

「なっ。も〜。心配してあげてたのに」

「ふふふふ。ごめん。ごめん。俺、ちょっと散歩に行ってくるけど、志穂も行く?」

「ごめん。私まだお父さんのお見舞い行ってないの」

「そう。俺も付いていこうか?」

「いいよいいよ。健ちゃんくるとお父さん『男できたのか!?』って怒りそうだし」

「なるほどね。んじゃ、また後でな」

「うん。また後でね」
私たちは手を振って別れた。
ホントはお父さんに、健ちゃんを紹介したいんだけど……。
しぶしぶお父さんの病室へ向かった。
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