会いたくなったら、上を見上げて
「彼氏なんていませんよぉ。神に誓って言ってあげる。私、前田志穂に、彼氏はいません」

胸を張って言ってやった。
でも、淋しい。
この年になっても、未だ彼氏ができたことがない。
デート経験ゼロ。
彼氏いない歴=年齢。
体が小さいからか、街では小学生くらいに間違われることがある。
こんな事言うのも可笑しいかも知れないが、電車やバスはもちろん、映画とか遊園地を子供料金で入ることができる。
ちょっとした詐欺かもしれない。

「ふふーん。でも、片思いの相手ならいるんでしょ?」

「えっ! 何が!?」

お父さん鋭い!
ちょっと聞かなかったことに……。

「片思いしてる男の子。いるんでしょ?」

「なななっ! 何のことやらさっぱりですわ」

ヤバい。

“ホントにやばいのか!?”

お父さんにばれる。

“もうばれてるのかも”

もう隠しきれない。

“むしろ隠しきれてない


もう言っちゃうべきなのか?

“もう言っちゃってるのと同じだと思うけど”

ん〜どうしよう。

“どうするも、こうするもない”

あ〜やっぱり駄目。

“駄目なものか、もう感づかれているのに。何も悩むことなんてない。答えは一つだ”

心の中で自分との格闘。
出た答えは一つ。
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