会いたくなったら、上を見上げて
「お父さん、私ね」

ここまでしか言ってないのに、お父さんは

「ははは。いるんだろ。知ってるよ」

「え!?」

「志穂は隠すのが下手だなぁ。俺に似たのかな? ははははは」

「ちょっ! ちょっと待って!!」

ホントにちょっとだけ待って。
何で?
何でお父さんは私に……。
私が片思いしてること知ってるの?

「何だ何だ。見苦しいぞ志穂。まだ隠そうとしてるのか?」

「そんなことない。ただ……」

「ただ。何だ?」

「何でお父さんは、私が片思いしてること知ってるの?」

「ん〜。ズバリ言ってあげよう」

人差し指をピンと立て、何かを予知したみたいに答えた。

「志穂が片思いしてるのは……」

私は唾を飲み込んだ。
何言われてもいいように、構えもできている。
さぁ〜来い。

「片思いしてるのは……」
引っ張るの?
お父さん引っ張るの?

「ぅうん〜……」

まだ引っ張るの?
まだ?
まだなの?

「片思いしてるのは後藤健一君だね」

キャァァァァアァァァァ〜〜〜〜〜〜!!
ぃきなりの正解!
父スゴ!!
ノーヒントだよ。
フィフティーフィフティーも、テレフォンも、何も使ってないよ。

「どう? あたりかな?」

「うん」

私は恥ずかしがりながらうなずいた。
多分……。いや、きっと顔は真っ赤っか。

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