いきなり王子様
「姉貴は結婚してからどんどん義兄さんの事が好きになって、仕事も辞めて。
忙しい義兄さんを側で支えてきた。
そんな姿を見て、うちの両親なんか『まさしく予想通り』なんて言いながら満足げに笑ってるし。
それこそ、自分たちの目に狂いはないって感じでさ」
くすくす笑う竜也につられて私も笑い声をあげた。
両親って、そういうものなのかもしれない。
子供の事、わかっていないようでわかってるんだろうな。
私の進学や就職、頭ごなしに何かを言う事はなかったけれど、それとなくやんわりと的確なアドバイスはくれていたように思う。
そんな事を振り返りながら、温かい思いで竜也が座っているソファの隣に腰かけて。
そっと頭を竜也の肩にのせた。
それを待っていたかのように、すっと彼の手が伸びて私の肩を抱き寄せてくれる。
リビングのテーブルの上でお絵かきをしている璃乃ちゃんを見ながら、竜也の温かさに包まれていると、本当に幸せな気持ちになる。
昨日からの展開こそ信じられないし、こうして竜也の側で穏やかに過ごしている自分なんて全く予想していなかったけれど、こんな事もあるもんなんだ、とまるで他人事のように。
「おかしな感じ」
ふと私の漏らした言葉に、竜也が私の顔を覗き込んだ。
「何が?」
「昨日まで、全く気持ちの中にいなかった竜也とこうして一緒にいる事もだし。
何の接点もなかった人のお宅でこうして和んでるなんて、ほんと、おかしな感じ」