遺伝子2
悪夢
『……サナ…イ』


ん?誰?


キョロキョロと周りを見渡すが、辺りには誰かが居る気配など無かった。


それより、ここはどこなんだろう?


真っ白なモヤに包まれた体はいつもの俺なのに、まるで自分じゃないかの様にフワフワした感じがする。


『…ユル…サナ…イ』


ん!!まただ!!


俺は、もう一度キョロキョロと辺りを見回した。

もちろん、誰も居るはずが無い。



『ユルサナイ…』


今度は、はっきり聞こえてきた。

頭の中でエコーがかかったかの様に、女性の声が聞こえてきていたのだ。

その声のは、透き通るような艶やかな声であるにも関わらず、威圧感さえ与える声だった。



――絶対に逆らえない。



何故だか俺は、瞬時にそう思ってしまったのだ。



『ワタシイガイノ…オンナハ…イラナイ』



その女は、まるで歌っているかの様に優しく囁きかけてくる。



『コロ…セ』



えっ?!



『コ ロ セ』



そんな!!!


一体どういう事なのだ?!


そう思っている俺に、更に女は追い討ちをかけるように囁きかけてきた。


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