遺伝子2

加奈の時の不思議な体験を思い出したものの、あれから別段変わった事も無かった。


大丈夫だろう――


「うん、僕も好きだよ。付き合おう」


そんな返事が、後々後悔を生むならば……

真由美ちゃんの命が消えてしまうならば、きっと今『ごめん』と断っていたに違いない。

ニッコリ笑いながら答えた俺を、信じらんないという顔で見つめてきた真由美ちゃんは


「嬉しい」


そう言って、俺の腕に真由美ちゃんの細い腕を絡ませてきた。

なにせ、今居る場所は土管である。

いくら離そうとしたって、かえって寄りかかってくる体制になってしまう。


近い顔。


真っ赤な真由美ちゃんは、潤んだ瞳を俺に向けていた。


その時


―――ドクン


心臓が1つ大きく鳴り、呼吸がくるしくなった。

ふわふわと雲の上に居るように意識が朦朧として、自分が自分じゃなくなっていくような感覚。


なんだ、この感じ。


前も有ったような……ああ、加奈の時の気分だ。

すり寄る真由美ちゃんの頬を触り、その手をゆっくり下に移動させていった。


ヤバい……


ごめん、真由美ちゃん!!!体が言う事をきかないんだ…


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