遺伝子2
そんなことはさせない……
そう思い、体を動かそうと力を入れてみたものの、全く体に力が入らないうえ自分ではどこも動かす事が出来ないのだ。
--そんな…バカな
『オマエ ハ ワタシカラ ノガレ ラレナイ』
そう声の主は言うと、何かが俺の中に入って来た感覚がした。
--うわっ!!!
今まで味わった事が無い感覚に、思わず声をあげてしまう。
何かに包み込まれてる感じなのだろうか?!
なんて言うか、生温かくてずっしり重くてけだるくなっている体。
そして何より感じる事が
【憎い】
そう、すべての事が憎いのだ。
深い深い憎悪が俺の体中を包み込んでいる。
--お前……何を…したんだ?
『シハイ』
--支配だって?!
『フフフフ…マダ ワカラナイカ?』
奴はそう言うと、俺の手をゆっくり天井に向かって動かし始めた。
--どうして?
さっき動かそうとしても全く駄目だったのに、今は操り人形のように体が勝手に動いていく。
自分の意志とは別の場所で、誰かが俺を操ってる感じなのだ。
【支配】
確かにその言葉が一番合っている気がする。
俺は奴に支配されているのか?
『オマエ ハ ワタシカラ ノガレ ラレナイ……フフッハハハハハハハハハハ』
声高らかにやつが笑うと、俺の意識がどんどん遠のいていった。
その中で渦巻く憎悪。
恐ろしいほどの怨念を感じた瞬間、俺の意識は完全に無くなってしまった。