遺伝子2
気がついた時、俺は真由美ちゃんの冷え切った頬を触っていた。
いや、冷え切った頭部と言うところか。
そう、真由美ちゃんの体はどこにも無く、首から上だけを持って居たのだ。
俺が意識を戻した瞬間に飛び込んできた真由美ちゃんの死顔を受け入れられなくて、頭部をもったまま見つめあっていた。
どんな光景だよ。
そんな風にいつもなら冷静にいられるのに、今回ばかりは違ったのだ。
俺の意思じゃ無い所で行われた行為。
いつもなら、とぎれとぎれでも意識はあったのに……
行き場のない怒りと悲しみが襲いかかって来る。
真由美ちゃんの驚いている顔を見ていられなくて、頭部を抱きしめながらただただ泣いていた。
人を殺して泣いたのは初めてかもしれない。
「ごめんね」
そう呟くと、ゆっくりと真由美ちゃんの瞼を下ろした。
自分がこの手で真由美ちゃんを殺めた事が、未だに信じられない。
ゆっくりと真由美ちゃんの頭部を地面に置いた瞬間、再び何かが俺の中に入って来た。
その瞬間、俺はまた意識を無くしてしまっていた。