遺伝子2
放課後、親友の雅典《まさのり》の誘いを巧く断って、約束通り1人で待ち合わせの神社に向かった。
なぜ神社なのかは分からなかったけど、俺達が良く遊ぶ場所だったからさほど気にはならなかったんだ。
俺はズンズンと奥に入っていくと、見覚えのある髪型の女の子が立っていた。
「加奈!!」
加奈は振り返り俺を見つけると
「かずくん!!」
と、嬉しそうに走ってきた。
「待った?」
「ううん。大丈夫だよ」
加奈は少し赤くなりながら、俺の手を取った。
「どうしたの?」
「こっちに来て!!」
加奈は俺の手をグイグイ引っ張りながら、境内の裏手に向かった。
そっちの方は、危ないからあまり行くなと止められていた方なのだ。
「加奈、そっちは危ないよ」
俺の制止する声に
「大丈夫、大丈夫」
そう答えながら、歩く事を辞めない加奈。
ちょっとした林の様な木々が茂る場所を抜けると、急に視界が開けたのだ。
「わぁ~~~」
「ねっ、すごいでしょ」
驚く俺に、得意気な顔をしながら話す加奈。
そう、そこは町を一望できる絶景の場所だったのだ。
「かずくんに見せたかったんだ」
そう言うと、加奈は近くの大きな石の上に座った。
俺も加奈の横に腰をかけた。