笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
『何でそうなるんだよ』

凌がわたしの部屋にあるクッションに拳を
叩きつけた

とても苦しそうに

何度も何度も叩いた

『最低な男だな』

『しまっちをそんな風に言わないで!』

『だって、そうだろ?
男として一番最低だよ』

『だから
そう言わないで!』

みどりと凌が声を荒げてやりとりしている

それをただ呆然と
見つめていた

『夏海も何か言えよ!』

凌の言葉が、わたしにも向けられる

それでも、言葉が
出てこなかった

『夏海は、みどりが
このままでもいいのか?それとも、自分も同じ
経験してるから、何も
言えないってのか?』

さすがに、黙って
いられなかった

『そうじゃないよ!
わたしとみどりは違う。だけど、みどりを
そんなに責めても
解決出来る問題
じゃないじゃん』

『わかってるよ。けど
みどりだって
抵抗しないから
やったんだろ?しかも
教師と生徒だぞ?
夏海と山本は、お互いに好きだからいいにしてもみどりは違う。そんな事していい関係
なわけないだろ』

『教師でも、男は
男なんだよ!みどりが
どれだけ悩んでるのか
凌はわかってないよ』

『わかってるから
こうやって
言ってるんだろ。
みどりの顔見たら
辛さがよく
伝わってくるんだよ!
夏海だって辛くて
たまんないだろ?
みどりを支えて
やりたいって思うだろ?俺だって同じだよ』
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