114歳の美女
 大通りを西に入った所に村島ときの家はあった。


 古い町屋が、現代の今も軒を連ねている京都らしい家並み。
 
 この辺りは、その昔から着物関係の職人たちが多く暮らす町として知られている。
 
 智也は大きく深呼吸をすると、格子戸を叩いた。
 

 「今日は。市役所の者ですが」
 「今日は」
 
 「はい、どなたですか」
 

 格子戸の向こうから声がした。
 

 ガラガラガラ・・・。
 

 格子戸が開いて、中から女が出て来た。
 

 「市役所の星田と申します。村島ときさんはご在宅ですか」

 「ときさんは、ただ今出ておりますが」

 
 世帯主 村島寛道の妻しのぶが答えた。
 

 (ときさん)
 

 智也は、その呼び方に少しわだかまりを覚えた。
 女は40代後半に見えたからである。





 
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