114歳の美女
 吉のは店の間で時間を潰していた。
 時計の針は、11時前を指している。


 「そろそろ地獄へ行こか。この歳で地獄参り。因果やなあ」


 「まだ、地獄の青鬼は帰ってへん。こらあ、地獄の蓋が閉まる日も近いで。待ち遠しいなあ」


 吉のが深呼吸をしてから、奥の間へ。


 布団は川の字で、すでに敷かれている。
 ときは端の敷き布団の上に座っていた。

 「星田はんはまだか」
 「へえ」

 ときが元気の無い声を出した。


 「昨日も遅かったな」
 「へえ」


 ときの冴えない顔を見て、吉のが布団に滑り込んだ。


 「帰らんかもわからんで。あんたもはよう寝なはれ」


 吉のが布団の中から呟いた。





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