114歳の美女
 あくる日。

 智也は役所に出ると、古田の出勤を待った。


 古田が現れた。

 「お早う。今日はえらい早いな」

 古田はご機嫌な様子だった。


 「お早うございます。課長、昨日は『花簪』に行かれたのですね」

 智也は古田の顔を見るなり、気になっていた事を口に出した。


 「あっ、女将から聞いたんか」
 「連れもおられたみたいですね」


 ともやは業と、ときには触れなかった。

 「偶然、道で会ってな」

 古田は平気で嘘を付いた。


 智也が次に確信の言葉を述べようとすると、いち早く
「あの仕事は、進んでるか」
と、古田が話題を変えた。


 「すぐやります」
 「頼んだで」


 古田は足早に去って行った。


 「人の女房にちょっかいを出しやがって。女好きの泥棒猫め。覚えていやがれ」


 智也が古田の後ろ姿に、汚い言葉を小さく呟いた。





 
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