114歳の美女
 客の視線が、花香では無く、ときを追っている。


 花香は客の視線までが憎かった。
 客が二人を見て言った。


 「女将、彼女は知り合いかい。なら、彼女を『花簪』に引き抜きなよ。俺が贔屓になるから」

 「・・・」

 花香が無言でときを見た。


 (客の言葉に一理ある。最近、自分が老いたせいか、客足が滅法少なくなった。もし、客の申し出に承諾さえしてくれれば、願ったり叶ったり。自分の感情は、綺麗さっぱり捨ててやる)

 「・・・」

 ときもその申し出に無言を通した。


 「そちらはんの答えは」


 花香がときを見て、さらに一押しした。





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