114歳の美女
 「死なれたら困りますね」

 俊介が、冗談とも本気とも取れる言葉を言った。

 「うちは洋服も、一度も着た事がないんどすぇ。周りがみんな洋服やったら、息も安心して吸えまへん。時代遅れな女子どす」

 「それが、とき姐さんの魅力ですけどね。でも、ニューヨークで、とき姐さんの和服姿。きっと、大うけだと思いますよ。僕としては、ちょっと心配ですけどね」

 俊介の横顔が笑っている。

 「転勤はどれ位」

 ときが真顔で、その横顔に尋ねた。

 「早ければ1年」

 俊介がときに答えた。

 「遅ければ」
 「僕にもわかりません」

 それから、少し沈黙が続いた。

 「そろそろ西宮ですよ」

 俊介が口を開いた。






 

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