114歳の美女
 父親の、母親の・・・そして、お家はんの、俊介の思い出が、ときの脳裏を過ぎった。


 辛い思いでだけが流れて行く。
 さらさら、さらさら、さらさらと。


 ときの潤んだ目は、いつまでも川の流れを追っていた。


 「川っていいですね」
 マスターが言った。


 「ほんとに」
 ときも川から目を離さずに答えた。
 二人は飽きるまで、川の流れに目を奪われていた。



 あくる日。
 マスターは店をいつもの通り開き、テーブルを雑巾でごしごしと拭いていた。





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