114歳の美女
 「市役所の星田と申します。今日は広田富さんにお伺いしたい事がありまして、お伺い致しました」
 
 「あたいが富どす。耳が少し遠いので、大きな声で・・・」
 「僕の声が聞こえますか」


  智也が声の調子を上げて、聞こえるか富に尋ねた。
 

 「へえ、大丈夫どす」
 

 「実は、○○町にお住まいの村島ときさんについてお聞きしたいのですが」
 


 「村島とき。あ~あ~、あの葬式小町の事どすか」
 

 「葬式小町?」
 

 智也が耳慣れない言葉に反応した。


 「おときはんは、お葬式の時に泣き狂う事で、この界隈では有名どすわ」


 富がときについての興味深い事を口にした。

 「お葬式に泣き狂う?」

 「いつも号泣されるんどすわ。それは、それは、火の点いたようにな」
 
 「そんなに泣かれるのですか」


 「何で死ぬのどすか。うちだけ残して。いやや。いやや。うちも連れて行って。うちも連れて行ってと、それは、それは、号泣しはるのどすぇ」


 「それはいつからですか」


 智也は広田富が話す葬式の話に、ときの知らない一面を垣間見た思いがした。





 
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