114歳の美女
 「あたいのお母はんの話では、昔からやそうどす。おときはんのお父はん、お母はん、お兄はん、その他いろんな人の時も・・・。」

 「広田さんも、お葬式のときさんを見られた事はありますか」

 「あたいは、おときはんのお母はんの末はん。お兄はんの、ええと名前は何遣ったか忘れましたけど、それから・・・」

 「その時も号泣されたのですか」
 「お兄はんの時は凄かったどすえ」


 富は得意満面になり、熱を帯びて語り始めた。


 「あれは、そうそう雪の降る寒い寒い夜どした。おときはんの泣き声が、雪の舞い散る界隈に響き渡ってな。ほんま、凄かったどす」


 「それは、ときさんが幾つ位に見えた時ですか」

 「確か、17歳か18歳位どしたぇ。お兄はんは80歳ちょっと前どしたな。お亡くなりになったのは」

 「お兄さんは、ときさんより幾つ年上ですか」

 「二つ位、はよう生まれはったと・・・。定かではおへんけど」


 「80歳位と17、8歳か。不思議な兄妹ですね」


 「おときはんは、驚くほど成長が遅おおましたしな」


 智也は驚くほど成長の遅いときの不思議さを、この話を通して知った。





 
< 54 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop