八一ト




「泣いてんの・・・恋次のことやろ」

「違う・・・違うよ」

「悲しい時には笑うって親父さんの
言葉やけど」

「・・・・・・」

「別に笑わんくてええねんで・・・」


何で・・・何で?

私はずっとこのことを守ってきた

悲しいときはいつも笑ってた

それが普通だった

笑ってたら気が楽になった

・・・・・・でもそれは長く続かなかった

この言葉に何かが響いた

私を開放してくれた気がした

「泣きたい時は素直に泣いたらいい
楽しい時は素直に笑ったらいい
無理して縛って別の顔を作らんでいいねん」


「せんじくん・・・私・・・
悲しい・・・不安でいっぱいで・・・

・・・・・・もうめちゃくちゃで・・・」

私はせんじのほうに向き合い椅子を
はさんでめちゃくちゃ泣いた

せんじの胸の中で泣いて泣いた

せんじは優しく私を見てくれていた




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