分かんない。
しまった、離れてしまった。
辺りを見回しても
知らない人ばかりが
行き交う景色しか確認出来ない。
仕方なく私はこの人混みを外れ、
人気のない草むらへ移動した。
そこには数人の若者が
何やら楽しそうに話をして
かき氷などを食べていた。
突然後ろから背中を押される。
押されるがままに歩いていくと
今度こそ誰もいない所へやってきた。
後ろを振り向くと、暗い闇の中で
私好みの少年が私を見下ろしていた。
中2あたりだろうか。
「君、可愛いね。何年?俺1年」
「1年ですけれど。何か用ですか?
私、友達とはぐれたので
これから探しに行くのですよ。
もしかして手伝って下さるんですか?」
冗談混じりに言ってみた。
けれど、こういう男が言う言葉は
大概その言葉と反対の言葉を言うものだ。
「はぁ?手伝う訳ねえじゃん。
俺君をナンパしにきたのに。
ねー、一緒に祭り回ろうぜ。
いいだろ?ん?」
「おー、可愛い子みつけてんじゃん。
てかお前にしてはナンパとか珍しいな」
男子の後ろから友達らしき人が3人ほど
ゆっくりと歩いてきた。
「いや……この子ばかりは…。
しかも祭りが終われば
もう会えなくなるかもしれねえし」
何これ。普通のナンパじゃない……?
ああ、そうか。そういう事か。
誠実な告白に見せかけて、
ナンパに成功しようという魂胆か。
ナンパする事が珍しいという事も
きっとぐるの台詞だろう。
「なあ、いいだろ?一緒に回ろ?」
だけど好みの顔をした人と
一緒に回るのも悪くはない。
それにしてもこの男はナンパが下手すぎる。
一番聞かなければならない
名前を聞いても来ないのだ。
ナンパをされる事が初めての私でもわかる。
「ごめんなさい。私はやっぱり
はぐれた友達を探します」
帰してもらえる訳もないけれど、
男を横切って、その場を去ろうとした。
男の真横に来た時、強く腕を掴まれた。
「うわぁ〜、強引だ〜!まじねえわ」
「いたッ………。離してください」
それでも平静を保とうとする。
けれど、今度は両手首を掴まれた。