分かんない。



誰がいるか分からないクラス。
この学校の中に、
私の知る人はいない。
一之瀬さんの事も
認識に慣れず、皆には迷惑をかけた。
そんなある日、一之瀬さんは言う。

「あのさ、美佐。
俺の事を忘れてしまったなら
1回別れた方がいいと思うんだ」

彼の言う事は、これっぽっちも
間違っていないと思う。
彼はそれでも、やっぱり
私の事を好きでいてくれるようで、
思い出すまでは友達だぞ、
と言ってくれた。

私の首に毒を刺した
という田所圭祐は、
殺人未遂容疑、ストーカー容疑で
逮捕され、少年院に
入れられたそうだ。
しかも私は、脳死の状態から
奇跡の回復をした
と言われたから驚きだ。

一之瀬さんの他には、同じクラスの
川上さんと杏子が
仲良くしてくれた。杏子だけは
微かにも、仲の良い親友だ
と覚えている。それだけ、
杏子との絆は深かったのだろう。
それからたまに、川上さんが
私を遊びに誘ってくれた。
とても楽しいし、嬉しい。
一之瀬さんはというと、
受験勉強があるからあまり、
遊べないらしい。

私と川上さんはよく
川の近くにある河原で遊んだ。



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