グラデーションの夜

「馬鹿、違う。そこは、両辺をθで微分でしょう…」

「はあ、うん」

「ちょっと。君が微分積分わからないから教えてくれっていったんだよね。何その不真面目な態度は」


暑さに苛立ちながらバンと机を叩けば、彼は溜息をついた。
汗がつう、と頬を伝う。


「駄目だ、暑すぎてのぼせそう」


椅子にもたれて、弱音を吐く。
ぷつりとシャツのボタンがひとつ外された。ほっそりとした首筋から鎖骨に続く、その流麗なラインに思わず釘付け。


自覚しているの。
私、結構異常だ。ここは教室なのに。そんなことは関係なく、込み上げる衝動が抑えられない。


ねえ、今すぐその鎖骨に噛み付きたいと言ったら君はどうする?

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