グラデーションの夜


「――、」


私の名前を呼ぶ声。それは暑さで脆くなった理性をどろどろに溶かすに充分だった。

勢いよく身を乗り出したはずみで、椅子が倒れる。驚いて目を丸くする君は美しい。一瞬のうちに確認して、嬉しさに口角が持ち上がった。

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