グラデーションの夜


「――」


名前を呼ばれた瞬間、返事をする代わりに彼の鎖骨に歯をたてた私は、沸き立つ己の欲望にどこまでも忠実だ。


「…高校のときから、やってること同じだな。俺たち」

「なによ、マンネリとか言いたいの」


そういう意味じゃなくて、と困ったように呟く彼を、"冗談だよ"と笑いながら押し倒した。

くっきりと歯型のついた鎖骨をそっとなぞる。

身体の奥からじりじりと熱を帯びていく。
ボタンを外して、本能をさらけ出すよ。

昔も今も、耐え性なく"ソレ"をぶつける私と、そんな私から逃げられない君。


あの頃から何ひとつ変わらないのだ。


< 5 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop