終わらない物語∞始まり

「久し振り」




「えっと、ここが…」
「保健室でしょ?」
「えっ?う、うん」

彼女、天野さんは、僕が部屋をいう前に当ててしまった。


―さっきから…ずっとこうだな…


「あの、天野さん、」
「友里。」
「え…?」
「友里ってよんで。」


なぜか天野さん…友里が、険しい顔で僕を見る。


「わ、わかったよ…で、友里?」
「なぁに?」


今度は機嫌がよさそうにニコニコする。
…彼女はよくわからないな。
じゃなくて!


「前に…ここに来たことあるの?」


さっきから、疑問に思ってた。
だって、この学校の部屋の位置を知りすぎている。


「まあ…ね、前の時はここの生徒だったからね」


なぜか友里が悲しそうな顔をする。
それに…「前の時」?
僕が聞き返そうとしたとき、彼女はまたさっきみたいな嬉しそうな声で続けた。


「でももう大丈夫なの。やり直しだから、ここは。」


……は?
彼女は何を…?

「っ…!?」


突然、頭の奥がズキズキ痛んだ。
ひどく、重いものが頭に乗ってるような…そんな感覚。


「また会えて嬉しいな。」


僕に構わず、彼女は続ける。
痛い、頭が凄く、痛い。


「ね?陽祐」


痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


「久し振り。」

その言葉を聞いたとたん、涙があふれた。

そして意識が、闇に落ちた。
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