点零
その時、碁会所では、
新しい展開があった。

アマ六段の
若干28歳、
国土交通省の
エリート、
新しい顔がここで
打つことにしたというのだ。

当然、
お年寄りの関心は強く、
最近来ないフリーター君なんて
霞むほどの
強さ。

そして、官僚。
誰もが、何かどこか食い付かないと
おかしいくらい
エリートだった。

ここでも負けなし。
一番強い人とも
2子置きで
白番圧勝中押し勝ち。

文句のつけようがなかった。
文句をつけるとすれば、
仕事しろ、官僚め!
といいたいくらいで、

夜10時までやってる
この珍しい碁会所だからこそ
受け入れることのできた
公務員。

まるで、
国が攻めてきたようだった。

強い。
何もかも強い。

誰もが彼に教えを求めた。
彼は独自のセンスで
様々なことをやれたが、
それでもなお
基本を教えることができた。

基本と言っても、
応用の応用の応用くらいだった。
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