放課後の視聴覚室は密の味
僕は「ここへおいでよ」と、
奈菜を自分の膝へ誘う。
奈菜はそれに頷き、両手で包んでいたミルクティーを側の机の上に置くと、
僕の膝にゆっくりと腰を下ろした。
それから僕は少しの間、奈菜を包みながら雨音を聞く。
奈菜もまた、静かに窓の外を眺めていた。
僕はゆっくりとまばたきをして、
奈菜に聞こえてしまいそうな程に高鳴った鼓動を抑えるように
静かに深呼吸をする。
「奈菜?」
「んっ?」
「手を貸して?」
奈菜は「どうしたの?」と、恐る恐るとゆうように、右手を出そうとする。
「反対の手がいいんだけど?」
僕がそう言うと、素直に左手を差し出した奈菜。
僕は後ろから腕を回したまま、
その手を捕まえると引き寄せて、もう一方の手でポケットを探り、短めのリボンを取り出した。
僕はそれを奈菜の薬指に結ぶと、
回している腕に力を込める。
「奈菜…僕についてきてくれないか?」