放課後の視聴覚室は密の味
「いいよ」
躊躇うことなくそう返事して、僕を振り返る奈菜は、
「どこに行くの?」
「いつ行くの?」
と、嬉しそうにはしゃぐ。
全く通じてない……
……僕のプロポーズ。
「いや、そうじゃなくてさ……」
僕は思わず苦笑いを浮かべ、
それに奈菜は、
「一緒にお出かけするんじゃないの?」
と、キョトンとする。
奈菜らしい勘違い。
奈菜らしいその仕草に
愛おしさが込み上げる。
不思議そうに僕を見つめる奈菜に
僕は肩を震わせた。
そして、「どうしたの?」と、
あどけない表情を見せる奈菜に、
堪えきれなくなった僕の笑いが零れる。
クククククッ…
「もう~
一体なんなのよ!」
拗ねた様子の奈菜は僕の膝を立とうとした。
その瞬間に僕は回している腕に力を込める。
だから、奈菜は僕の腕を解くことが出来ずに、諦めたように、一度は入れた力を抜いた。