放課後の視聴覚室は密の味
それから
僕は奈菜をなだめるように「ごめん、ごめん」と、謝って
「つい奈菜が可愛くてさ」と、付け加えた。
「本当は悪いと思ってないでしょ」
奈菜は怒った口調で、また僕を振り返って口を尖らすが、ピンクに染まっている頬。
そんな奈菜に、僕は微笑みかけて
「僕が悪かったよ」
と、奈菜の頭を手で軽くポンポンする。
すると、
「また、そうやって私を子ども扱いして。
反省してないんだから」
奈菜はプリプリ言いながら、前に向き直った。
「全く、もう~」
頬を膨らませ、まだ拗ねている奈菜。
その独り言のような言葉は宙に消えて行く。
僕は奈菜の頬に自分の頬を静かにぴとっと付けると、
再び雨音だけが、僕たちを包んだ。