夏色ファントム
*
翌朝。
めちゃめちゃ早くに目が覚めた。
窓の外を見ると、東の空がうっすらと明るくなってきている。
昨日あんな話を聞いたからだろうか。
目が冴えて、ロクに眠れなかった気がする。
俺はのっそり起き上がり、服に着替えて家を出た。
静かな様子から、じーちゃんはまだ眠っているようだ。
そっと家の隣にある物置に近寄り、扉を開けた。
埃のツンとした臭いが鼻につく。
そこには、じーちゃんが使う農具やら何やら沢山詰め込まれていた。
「何か切れるものは……と」
ふと、大きめの枝切り鋏が目に入る。
これだったらどうにかなるだろう。
俺は近くにあった柔らかい布に鋏を包み、そっと物置小屋を出た。