夏色ファントム



翌朝。
めちゃめちゃ早くに目が覚めた。

窓の外を見ると、東の空がうっすらと明るくなってきている。

昨日あんな話を聞いたからだろうか。
目が冴えて、ロクに眠れなかった気がする。

俺はのっそり起き上がり、服に着替えて家を出た。

静かな様子から、じーちゃんはまだ眠っているようだ。

そっと家の隣にある物置に近寄り、扉を開けた。
埃のツンとした臭いが鼻につく。

そこには、じーちゃんが使う農具やら何やら沢山詰め込まれていた。

「何か切れるものは……と」

ふと、大きめの枝切り鋏が目に入る。
これだったらどうにかなるだろう。

俺は近くにあった柔らかい布に鋏を包み、そっと物置小屋を出た。

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