ルチア―願いを叶える者


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「ルカっ…」


―バサッ

伸ばした手が空を切る。


「ルカ…私、まだ…」


涙が流れた。
ルカ………
あんなに声は近いのに、どうして距離は埋まらないんだろう…


「花音、目が覚めたんですね…」

「わっ…ア、アル!?」


アルが私をのぞき込んでる。


ここ、私の寝室……
私のベット……


あれ………?


「変な妄想はやめて下さい」

「えぇっ!!?」


変な妄想なんて…
妄想なんて……


したかも………


「あなたは倒れたんです。覚えてますか?」

「あ………うん」



多分力の反動…


「なんか良く寝れた気がするよ」

「でしょうね…。あなたはまる二日、眠り続けましたから…」

「まる…二日………?」



嘘でしょ…?
そんなに眠ってたなんて…


「花音、あなたに聞きたい事があります。あなたが倒れた日、水源に水が再び蘇りました」

「あ…」


アル…怪しんでる?
私が力を使ったんじゃないかって…


「あなたの体調不良と、今回の事は関係があるんですか?いえ…単刀直入に言いましょう」


アルは横になっている私の顔のすぐ横に手をつき、覆いかぶさってくる。


「ア……アル…?」

「ルチアの力を使ったんですか…?」

「!!!!!」


だめ…
動揺しちゃだめ……


アルにばれちゃう…
違うよって笑わなきゃ。


二人の為にも……












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