葛藤


ビクッとして振り返ると、有也が立っていた。




「いつから……」

「結構前」





壁にもたれて頬杖をつく姿に戸惑う。



まるで……



「演技の必要なかったんだな」

「?」



熱く、ミステリアスな視線があたしに注がれる。

ちょっと怖い。なのに、あたしは彼から目を逸らせずにいる。


有也は唇の端を僅かに持ち上げると、ズカズカ歩いてあたしの両腕を掴んだ。




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