珈琲の香り
風花さんのお墓の前での告白から1ヶ月。


季節は夏から秋にうつろい始め……


「これが2番、こっちが5番。」

「はーい!」


私と涼さんの関係はあまり進展せず、デートもなく、恋人となってもあまり変わりはない。

それでも、私は幸せ。

毎日好きな人と会える。

甘い言葉なんてない。

デートもしない。

それでも、誰よりも近い場所で笑っていられる。

それが幸せ……



「……………なんてわけないじゃない!」


付き合い始めてまだ1ヶ月だよ?

毎日会えるのは嬉しいけど、手繋いで歩きたいよ!

遊園地や買い物行ったり、二人っきりで過ごしたいよ~。

毎日お店で、お客さんもいて。

モーニングの波が収まる頃には学校行って。

これじゃ二人っきりになれない。

「おい!何考えてるが知らんが、これ持っていけ」

「はーい…」

私の気持ちなんて全くわからない涼さんは、相変わらずクールな顔してコーヒーを淹れれる。



涼さんは、二人っきりになりたいとか思わないのかな?

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