珈琲の香り
きっと、涼さんくらい大人になると、そんな子供じみた気持ちなんてなくなるのかな?

でも、それって少しさみしいと思う。

やっぱり二人っきりになりたいな~


「おい!ボーッとするな!!働け!!」

「うー…」


働きますよ!

働けばいいんでしょ!!

あ~!!私がバカだった。

告白して、涼さんも『好きだ』って言ってくれて…

何かが少しだけ変わるかと思ったのに。

………何にも変わらない。

朝バイトに来て、仕事して、学校行って、戻ってきてまた仕事して…

二人っきりになることもなくて、甘い言葉すらなくて。

蒼くんの時は、あの甘い言葉と甘い態度が怖かった。
『私はそんな風にされていいのか』って……

でも、やっぱりされたい……

一応は女の子ですから……


「は~……」


出るのはため息ばかり。

桜だったかな?

「ため息つくと、幸せが逃げちゃう」って言ってたの。

幸せは逃したくない。

でも…


「は〜」


気がつくとため息ばっかり…


「何考えてるの?」

「…蒼くん!いつ来たの?っていうより、もうそんな時間?」


あんな風に終わっても、蒼くんは優しくて、私と涼さんが付き合うようになっても、朝は必ずお店に顔を出してくれている。

今では良い相談相手。



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