珈琲の香り
蒼くんに甘えちゃいけないって思うんだけどね。

優しい顔で『どうした?』って聞かれると、つい話しちゃうんだよね。



…………で、やっぱり……


「あとで話す~」


となっちゃうの。



あ………でも……………


「今日、バイクだった……」

「じゃあ、先にいくよ。あとで。」

「あ、待って!蒼くんが嫌じゃなかったら、乗っていく?」

「おっ?!いいの?いいなら乗せてって。」

「じゃ、少し待ってて?」


私にとっては、ごく普通のことだった。

桜でも誰であっても、相手が嫌がらなければ「乗ってく?」と声を掛けるし、『乗る』と言えば普通に乗せる。

………んだけど……


すっごい怖い顔で睨んでるの?

食器洗いながら、じーっと……


「涼……さん?そろそろ行きますね。」

元々無口な人ではあったよ。

だけど、今のこの顔は……

なんて言えばいい?

鬼?…………鬼より怖いかも?!

こんな怖い顔、見たことない。

こんなに怖い顔してるのに、何も言わないの。


もうどうしていいのかもわからない。

誰かこんなときに何て言えばいいか教えて~!!


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