桜が求めた愛の行方
男は注意深く行動した。
この会場に自分がいても、なんの問題もなく
誰にも疑われないとわかっていても、だ。

あの小賢しい秘書が、何かしら感ずいて
動き始めたらしいからな。

女からの報告には、満足している。
最近のあの若造の様子を見ると、久しぶりに楽しい気分になった。

今日のリハーサルには、ゴシップ誌のカメラマンを招待してある。
モデルとのスキャンダルは、大きなダメージになるだろう。
その打ちのめされる顔が見たくて、
わざわざここに足を運んだ。

このホテルはもうおしまいだろうが、
致し方無い。
このエリアの再開発から出遅れ、すでに
老舗の風格は失われている。
ただの古びたホテルに手を加えてどうする?
無駄な金を使わず、汚点になる前に
さっさと売り払えばいいものを。

まあいい、クソジジイが失望するきっかけだ
あの忌々しい秘書が慌てるのも見ものだしな

あとは、軽井沢を事前に潰せば
俺の明るい未来は約束されたも同然だな。

男は上機嫌で後ろの目立たない席に腰を
下ろして、これからこのホテルのどこかで
始まるショーを待った。


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