桜が求めた愛の行方
『待ってください!!急にどうして?』
勇斗の叫びに、田所は尋常でないものを
感じて振り返った。
そして、勇斗の顔を見て嫌な予感が確信に
変わった。
まずい……ここまでくれば安心だと思ったのが間違いだった。
『謝られても困ります!そんな……
とりあえず話をさせて下さい、
ええ、キャンセルにしても話を…
はい、これからそちらに……では』
勇斗は叩き付けるように受話器を置いた。
『何事です?!』
田所はあえてそれを聞いた。
『山嵜さんが、出店を取り止めたいと』
苦々しく勇斗が言う。
『やはり!!いったい何故?』
田所は表面上はかろうじて冷静を保って
いるが内心は腹わたが煮えくり変えっている。
『何故もなにも、とりつくしまもない
損害の賠償はすると言ったきり
ただ謝ってばかりで話にならない!』
『今さらそんな事が通用するとは……』
勇斗はデスクの上の物を片っ端から
投げつけたい衝動を押さえつけ、そうしない
代わりに全てを鞄に押し込んだ。
諦めるのはまだ早い、僅かでも可能性が
残されているはずだ。
とにかく、自分が諦めたら終わってしまう。
ここまできたんだ、何としても
考え直してもらわねば!