桜が求めた愛の行方

見出しに大きく書かれている文字に
一同が騒然となった。

藤木グループついに崩壊!?
次期後継者の早すぎる離婚!

『勇斗!これはどういう事だ!!』

会長は立ち上がって、勇斗を怒鳴り付けた。

『何も!私は何も知りません!!』

勇斗も負けじと叫んだ。

こんなことは聞いていない!
もしそんな事が噂されたとしても
それはこんな早くではない。
昨日あいつは、あの弁護士は軽井沢の
完成後、さくらは考えていると言っていた。

『会長、実は私は以前から、従姉のさくら
 に相談されていたんですよ。
 そこにいる男との結婚は望んだものでは
 ない、できるなら解消したいと』

『嘘だ!!』

沢木を睨む勇斗に、何人かの役員が
援護した。

『そんな馬鹿な事はないでしょう!』

『そうですよ、私がお見かけした
 さくらさんはとてもお幸せそうでした』

沢木はあいつらはクビだと頭に名前をメモ
しながら、冷静に会長の方を向いた。

『現にさくらは昨日から私の所におり
 おまえとはもう二度と会いたくない、
 そう言っている』

『でたらめは止めろ!』

勇斗は携帯を取り出した。
さくらは昨日、友人の所に泊まると
メールを寄越している。
確かに何度か連絡を取ろうとしたが
すれ違いのようで、メールだけのやり取り
になっていたが、間違っても副社長の所に
要るなどありえない。

『でたらめかどうかは、この書類を見れば
 わかるだろう』

沢木は立ち上がって、向かいに座る勇斗
の所へ行き、会長にもそれが見えるように
広げた。

『離婚届じゃと?!』

会長の言った言葉に静まり返っていた
室内にどよめきが走った。

『こんなもの!
 筆跡などいくらでも偽造できる!』

勇斗が破り捨てようと取り上げるのを
沢木はさっと奪った。
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