桜が求めた愛の行方
『今週中には感動の再会をしてくるわ』

『感動するかはわからないぞ?
 何しろ噂じゃ、あのお嬢様に骨抜きに
 されてるらしいからな』

『大丈夫よ、彼がダメでもあの小娘が
 逃げ出せばいいのでしょ?』

『そうだ、あの小賢しい秘書のせいで
 俺の立場が危うくされかけている!
 あの若造の家庭を破綻させて、
 企画もぶち壊してやるんだ!!』

本当に賢いのは誰かを思い知らせてやろう

『そしたらあなたは安泰なのよね』

『そうさ、おまえにもこれまで通り
 好きなだけ援助してやれる』

男は若い女に覆い被さった。

この女には五年前に一度失望させられた。

叔父が亡くなった時に、不測の事態に備え
あの若造に送り込んでいたこの女は
クソジジイの強引な婚約を阻止出来ずに
あっさりと捨てられやがって。

その前からお嬢様に送り込む男どもも
揃いも揃って不甲斐ない奴らばかりだった
まったくどいつもこいつも使えない!


それでも結婚の話が進まないからと
油断していたのが悪かった。

まさか、あのお嬢様がフランスから
戻って、たったの三ヶ月で結婚するとは!

会社は俺のモノだ!!

馬鹿な改革派のやつらの手になど
渡すものか!

株の数では有利だとわかっているが
それで安心するのは愚か者だ。

いざとなれば………
脅してでもお嬢様のもつ株を奪うだけだ

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