花嫁に読むラブレター

 そこまで考えて、マイアは頷いた。

「少しなら」
「少しと言わず、めいっぱい楽しんだらどうなのよ。マイアってばまだ若いのにおばさんみたいな生活してるじゃない?」
「おば……」

 ミリア姉さんの言葉に、マイアが口ごもる。隣でくすくす笑うユンの姿がなければ、落ち込んだまましばらく立ち直れなかっただろう。

 じゃあ行こうか、と促すユンは、とても不思議な青年だ。

 慰められたわけでもないのに、ユンが笑っただけで、ハーブティーを飲んだあとのような落ち着きがマイアに生まれた。施設で一緒に住む人たちから感じる安堵感とはまた違う。

 差し出されたユンの手を取り、店の入り口を抜けたところで、背後からミリア姉さんの呟きが重く聞こえてきた。


 ……本当、羨ましいわ。
 

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