花嫁に読むラブレター
快適な天気で、ぽかぽかとした陽射しが頬に暖かい。
マイアは、ユンの半歩後ろを黙って歩いていた。向かっている先は、マイアが街に下りてきた道を戻っているだけだった。
家に帰るのだろうか? そう思った矢先、進路を変えて丘からいつも眺めている湖のほとりへと向かっていた。
太陽を全身で受けた湖面は、きらきらと輝いている。水際に生えている細長い草がゆらゆら風に揺れる。丘の上の風は、山から流れてくる土の匂いが濃い。けれど、ここの風は水場があるせいか、湿気を含んだみずみずしい野菜のような匂いがするのだ。マイアは時おり一人でこの場所を訪れることがある。日が暮れるまで、木のベンチに座ってひたすら湖やうっすらと見える山稜を眺めていた。
ユンはベンチに腰をかけ、隣に座るべきかと立ち尽くしているマイアに、笑顔で隣に促した。