花嫁に読むラブレター
「あ――……」
ユンは一瞬、憂いを帯びた表情になった。しかしそれも一瞬のことで、すぐに明るい笑顔をマイアに向けた。
「よかった。迷惑になったらどうしようって思ってたんだ」
「そんなことはないです。食べるものは少しでも多いほうがわたしたちは助かります」
マイアは会釈をし、顔を上げるとやっぱり寂しそうな笑顔でユンがぼんやりとマイアを見ていた。
「あの……どうしたのですか?」
「あ、うん……。そうだ、マイアさん、これから何かご予定は?」
「もう買い物も済んでしまったし、あとは帰るだけです」
「もしよければ、これから少しだけお話できないかな」
マイアは店の外を、窓からちらりと窺う。
まだ日は高い。
日が傾き始めるまでには、まだ随分と時間がある。マリーおばさんが夕飯の支度を始めるまでにも、まだまだ余裕だ。それにマイアが街に下りる日は、それ以外の仕事は全部ステイルがやってくれることになっている。少し遅れたくらいで、誰にも迷惑はかからないだろう。