花嫁に読むラブレター
この場所は、家でもあり、共に歩んできた家族でもあるのだ。
揺れる湖面を見ているだけで、さまざまな思い出が瞼の裏に浮かぶ。そのすべての光景が、マイアには綺麗だと、断言できるものばかりなのだ。
まだ、街のお店でユンと再会する前。なんだか自分がすごく侮辱されているような気がした。お金、お金、お金。なんでもお金で解決できると思ったら大間違いだ。よく知りもしないユンに対し、心の中で何度毒づいただろう。
この湖が国宝に選ばれるほどだというのも素直に頷ける。しかし、マイアが好きなのは、人々の評価があるからではない。とても嫌な気分だ。はらわたが、マイアの怒りに合わせて小さな気泡を浮かせながら今にも沸騰しそう。
眉間に皺を寄せ、渋い表情になってしまったマイアを見て、ユンは慌てて手を振った。
「ご、ごめん……。なんだかマイアさんを試すようなことを言っちゃったね。でもマイアさんも悪いんだ」