花嫁に読むラブレター

 持っていたペンをシェリィに返すかわりに、ステイルの頭めがけて投げつけ、そのまま家を飛び出したのだ。

 湖のベンチに勢いよく腰をかけると、マイアのスカートが空気をはらんでふわりと膨らむ。陽射しに照らされた木々の影が湖面の上で、ちらちらと揺れる。小鳥が二羽重なるようにして飛び立っていくと、辺りは一層静かになった。

 大きく息を吐き、空を仰ぐ。
 落ち着いた心に、罪悪感だけがもやもやと水の上の油のように浮いていた。

 ――謝らなくちゃ。

 ステイルはともかく、シェリィには本当に悪いことをしたわ。

 空の青さが、目に染みる。

 けれど、今戻る勇気はない。きっとみんな自分を咎めるに違いない。先生にもマリーおばさんにも今は会いたくない。先生が帰る頃になったら、こっそり帰ろう。シェリィには、花で作った冠を渡してあげよう。彼女なら、お姫さまみたいと喜んでくれる。そしてちゃんと謝るんだ。

 そうと決まれば、花を摘まなくては。

 空から視線をはずし、辺りを見渡したときだった。
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