花嫁に読むラブレター

「嬉しくないの?」
「よくわからない……。でもここに人がたくさん来るのは嫌だわ。本当に心の底からここを綺麗だって思ってもらえるのならいいのよ。ただなんとなく、みんなが言うからそうなのかな、って興味本位で近づくのなら来て欲しくない」

 気難しそうな表情で、じっと湖面を見つめるマイアは真剣そのものだった。

「……マイアさんは、本当にここが好きなんだね」
「そうよ。わたしは孤児で貧乏だけど、ここに来るとそんなことちっぽけな悩みに思えてくるのよ」

「――ねえ、大変?」
「なにが?」

 ユンの突然の問いかけに、マイアは首をひねる。

 琥珀色のマイアの瞳を見つめているユンの表情には、どこか迷いがあるように見えた。言うべきか、言わないべきか。目を伏せ、落ち着きなく自分の手を握る。細い腕に、くっきりと血管が浮かぶほど力をこめているのがわかる。
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